life

とらわれずに暮らしていく

秋じゃが

 

ヒマワリの刈り取りが終わり

田んぼのヒエ取りが一段落しても、やることはまだまだ沢山あります

春や夏に採れる野菜を作付した畑は夏草が終わる時期まで草を切らずにいます

それはヒマワリ畑も同じで

夏草が種を付け登熟するまで待って草を切る

こうして一回リセットしてやると、連作障害や虫などの被害が出にくくなります

理由はよくわかりませんが現実にヒマワリには連作障害は出ていませんし

ジャガイモなども連作障害らしきものは出ていません

だから、玉ねぎやニンニク以外はマルチを張らない

ろくなことが無いし、後片付けが面倒だし、第一ごみが気に食わない

秋口の天気はコロコロ変わる事が多いので、晴れ間を縫って草刈りして

トラクターを入れます

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草は丈の分根が伸びているといいます

地上の姿と地中の姿は写し鏡のように根を伸ばしているということ

だから、耕耘するのは表面の部分だけ

種が蒔き易いように、表層を整えるだけにしています

植物の根は自分が根を伸ばしやすい環境を自分で整えていく能力があります

圃場を掘ってみると根の周りには、団粒構造ができあがっていて

柔らかい理想的な土ができています

残った根穴は排水の通路となり、適度な排水調整をしてくれる

残渣は微生物やミミズの餌となり、植物を育てる栄養に変わっていきます

 

自然の循環を断ち切ることなく、収穫を得る方法はどこかにあるはずです

そのポイントがどこなのかはまだ分かりませんが

それを探しながらの農作業は、面白く、多くの発見があります

二足の草鞋を脱がないのは、知りたいことや、驚くことが多いし

見えない先にはもっと面白いことが待っていそうだし

キツイけど、それを我慢できる楽しみがあるからです

 

 

 

 

アオミドロ アミミドロ

かなり前の話になるけれど、田んぼに藻が大発生していました

稲の成長を阻害することはないのですが

風が吹いたり除草機を掛けたりすると、稲に絡まって倒伏してしまうので

仕事が増えるから厄介だと思っていました

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なぜこれほど藻が発生するのか、取り除かなくてはいけないものかも解らず

いろいろ調べていくと

アオミドロやアミミドロの発生要件は、 窒素過剰やリン酸過剰

つまりは富栄養化によるものだということがわかりました

しかし、この5年間田んぼに肥料を入れたことは1度も無く

水は湧き水を引いているので、栄養分が過剰な状態にはなっているはずがなく

よその田んぼは元肥プラス化成肥料を入れているのに藻の発生が見られない

藻の発生は生活雑排水の混入や、下流域でのことであって

上流域で発生することは条件に合わない

でも現実には大量発生した藻が全面を覆いつくすという状態

なんで???????

と思い、過去の作業日誌を読み返してみると、

これではないかというものが見つかりました

 

藻が発生しだしたのは3年前くらいから、その量や規模は年々増えてきている状態

同時に試みてきたのは、レンゲの登熟を待って草刈りを始めたことと

刈り草を鋤き込み腐熟を待つ時間を伸ばしてきたこと

そして、極力浅く耕作してきたことで、窒素分が増えているのではないか

同時にヒエなどの雑草を抑えるために代掻きの回数を増やし田植が遅れる分

カエルやミジンコなどの動物性のものが増え、リンが増えているのではないか

確かに田植前の田んぼには、足の踏み場もないほどカエルの卵塊があったし

青刈り鋤き込みした時のように、ガスの泡が出ていなかったように記憶している

 

ヒマワリにかまけて草取りをさぼった田んぼはヒエが大量に穂を付けている

今はそれを少しでもとる為に毎日田んぼに行く

うんざりするほどヒエが生えているけれど、逆に見れば同じイネ科の作物を育てる

養分がそれほど豊富だという事でもあるし

稲の分けつ数を数えると大体50から大きいものは70くらいまで分けつして

そのほとんどすべてに穂が付いている

 

こういう自然の法則を上手く使えば、肥料や農薬はいらないのかもしれない

まだコントロールしているという状態ではないけれど

ポイントを見つけて押さえていけば、ウマい所が見つかるかもしれない

農は面白い

本田宗一郎ではないけれど、「走る実験室」みたいなもの

結果や数字という冷酷なデータと

メンタルや感情という不確定な要素

それがバッチリかみ合うと、解けなかった問題が一気に進む

でも、それはベストではなく、必ずその先が存在する

終わりのない挑戦こそが、未来への扉を開くカギなんだと思う

終わりの見えないことは辛いことだと言う人は多い

しかし、結果が分かっていることや大体の想像がつくことなんて

面白くも何ともない

 

種の乾燥

調子に乗って雨の前に残りのヒマワリを刈り取ろうと思ったけれど

よくよく考えたら乾燥させるところが無い

ガクの部分はまだ乾いていないので、

コンバインで刈り取ると種は湿気を含んだ状態になる

乾燥機があれば多少水気があってもコメと同じで関係ないかもしれないけど

乾燥機もビニールハウスも持ってはいない

仕方ないので工場にブルーシートを敷いて、扇風機を当てている

ヒマワリはすぐにカビが付く

刈残した分はこの台風と雨でだめになるかもしれない・・・

 

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農業の機械化というのは実にうまくできている

面積を広げれば手刈りで収穫するのは難しくなるので機械を使う

でも、機械を使えば短時間で大量に収穫できるから乾燥する機械が必要になる

コメでも麦でも大豆でも、日本式で狭い面積で収量を上げようとすれば

そのシステムの中にイヤでも組み込まれることになる

田植機や播種機で整列したように並べて植えるのも

除草剤で作物以外の植物を殲滅するのも

コンバインでスムーズに刈る為

収穫したものは乾燥しないと貯蔵できないから

乾燥機が必要ですよ、カントリーに搬入して下さいよと

よく解らない商売人が手ぐすね引いて待ち構えている

結果莫大な機械のローンを払うため、言い値で打ち切られるコメを作り続ける事になる

農を業にするならそれは避けられないのかもしれない

「自分で販路を見つければいい」商売人は簡単にそういうけれど

よほど長けた人じゃない限りそう簡単ではない

 

ヒマワリを作り続ける理由の一つはそんなシステムに対する反抗

このままでは商売にはならないし、引き継ぐ人もいない

でも、こんな田舎の山間地で、打ち捨てられた棚田後で、無農薬で無肥料で

それでもこういう事ができるんだと証明したい

美しいストーリーもツマラナイ枕詞も看板もいらない

突き詰めた、曇りの無いモノを、世の中に問いたい

ドシロートの戯言か、叶わぬ夢かもしれない

でも、見続けてきたものは曇りのない、まぎれもなく本当の事

この黒い種だけがそれを証明してくれる

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あの美味い油が今年は採れそうだ

料理人のダチが教えてくれた

バニラアイスにヒマワリ油という組み合わせは、驚く味だった

今年はそれが食べられそう

それだけでも苦労した甲斐がある

 

種の収穫

開花から1か月、ヒマワリは種の収穫時期になりました

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こういうヒマワリの姿を目にすることはほとんどありません

なぜかというと、多くのヒマワリ畑では種の収穫を目的としていないから

観光目的にしろ、緑肥利用にしろ、種が結実する前に切らないと

植物残渣の分解が進みませんし、固くなれば機械の負担も大きくなる

だからこういうヒマワリの姿を見ることは少なく、ほとんど目にすることはありません

 

此処のヒマワリは、違う意味でこういう姿を見ることはできませんでした

種の登熟が進みだすとどこからかイノシシが侵入してきて壊滅状態

倒れたヒマワリは鳥やネズミの格好の餌となり

この5,6年はこうなる前にヒマワリは姿を消していました

残ったとしてもほんのわずかな種しかなく

搾油に出すこともできない状態が続いていました

今年は電気柵を張り、ナントカ被害を食い止めようと

開花直後から毎日点検と、片付けの日々が続きました

倒されて回収したヒマワリの数はどれくらいだったか数えてはいませんが

軽トラ一杯の量が毎日、それが20日以上続き

大きな花が咲いた区画はほぼ全滅という状態になりました

それでも、全体の半分くらいは何とか守ることができ

収穫することができそうです

今年の勝負は「引き分け」か「チョット負け」

それでも全敗だったこの何年を思えば少しは良かったのかなとも思います

 

念願だった汎用コンバインも手に入れて

初めての操作とヒマワリに合わせたセッティングを探しながら

今年は電気柵の張り方も、コンバインの操作も、

すべては来年の為の布石だと思ってやっています

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何でも最初から上手くいくということは無い

技術も知識も簡単には手にすることはできません

ましてや誰もやってないことをやり通そうすれば、なおのこと一筋縄ではいかない

でも、高い授業料を払い、電気柵を張らなきゃ張り方は解らないし

コンバインを操作して、仕組みを理解し、セッティングを変えていかないと

操作は覚えないし、ベストセットは見つからない

 

ケツを割るのは簡単

傍観者になるのも、遠くから人を批判するのも簡単

フェードアウトするのも簡単なこと

でも、俺はイヤ

だって、いちばんカッコワルイ事だもの

そんなカッコワルイ奴になるために

今まで踏ん張ってきたわけじゃないから

エアコン修理

お盆前に入庫してきたエアコン修理の車

調べてみるとコンプレッサーの焼き付きでした

車のエアコンが修理なしで使えるのは10年ほど

家庭用と違いかなり過酷な状況で使われる車のエアコンの

主なトラブルはガス漏れです

ガス漏れの根本的な修理をすると大変高額になるので

ほとんどの人はガスの補充か、もしくは車を買い替えるかとなり

以前と比べてエアコンの修理は少なくなったような気がします

今や車も使い捨ての時代

60パーセント近いユーザーは3年もしくは5年で車を変えるというデータがあり

贅沢になったのだと思います

 

お盆や正月を挟むと、部品の供給は極端に悪くなります

土日は休みだし、連休は長くなるし

エアコンの部品も、それほど出ることは無くなったので、部品の在庫も少ない

ましてや古い車で輸入車となると1週間くらいは普通に待たされてしまいます

やっと部品が揃ったので交換することに

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輸入車は何かと面倒なことが多く

特殊なボルトを使っていることがあるので、国産車より少し時間がかかります

今回の車はワゴンタイプなので、パワステのポンプとリアレべライザーが一緒になって

ついているので、その辺を外さないとコンプレッサーが見えてこない

ファンシュラウドを外し、ベルトを緩め

パワステとレべライザーのホースを切って

やっとポンプが外れ、コンプレッサーが見えてきます

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エアコンの配管は大気中に開放すると湿気を吸ってトラブルの原因になるので

ここは一気にやっつけるところ

この後タイヤ交換が入っているので明日片付けることにします

 

また明日の午前中は、ヒマワリ畑に行き、ヒマワリの回収と柵の点検

クソ暑いし、気分は良くないことが多いけど

食って行く為には乗り越えていかなきゃ

明日もがんばろう

授業料

あれだけあったヒマワリが今はこんな状態に

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8月8日から続くイノシシとの戦いはまだまだ続いています

電気柵を張ったのは初めての事

だから、イノシシの習性や行動を詳しく調べるのは初めての事になり

柵の高さの修正や幅の修正

入ってくる場所や越えてくる方法など

データを取りながら毎日倒されたヒマワリを回収し

新たな修正を加えて次の朝を待つという毎日が2週間以上続いています

 

柵の総延長は1000メートル近くあり

高低差のある場所なので、開けた綺麗な圃場とは違い教科書通りの方法は通用しません

最初の頃はどこから侵入してくるのかさえ分からなかったけれど

この数日はかなり場所が絞れてきています

とはいっても敵もさるもの、新たなほころびを見つけては侵入してくるので

イタチゴッコには変わりありませんが

少しづつ回収する本数は減ってきています

もっとも、ヒマワリ自体が無くなってきていますので、一概には言えませんが

 

夜も眠れないほど悔しいのには変わりありません

ただ、これはいわゆる「授業料」なのだと思っています

今まで、仕事であれ、農であれ

楽に何かができたことは何一つありません

社会は、学校のようにカネを払って赤点が無ければ

トコロテンのように次のステージに上げてくれるわけではなく

具体的な対処法を教えてくれるわけではない

学も無く、看板も無い者は

身銭を切るのは当たり前、痛い思いをし、失敗を繰り返して、怒られて

初めて身につくことばかりだと思います

確立した技術体系をなぞるのはそう難しいことじゃありません

サルマネであっても、ある程度の結果はついてくると思います

 

こんな場所で、この時期に露地栽培を無農薬でやる

山が隣接した圃場で獣害を防ぐ

誰もやっていないなら自分でやっていくしか方法はありません

そのためには「時間」や「失敗」という授業料がいるのだと思います

いつの日か授業料を取り戻さないと・・・

自然は待ってはくれない

あーだこーだという言い訳も聞いてはくれませんし、何も教えてくれない

現実という結果から何を学び、何を得るのか

諦めたら何も学べないし、何も得られない

 

 

 

地味で退屈で・・・・

毎朝畑の見回りに行き、何百という倒されたヒマワリを回収して

電気柵の修正と見回りをする毎日

軽トラに積み込むとタメ息が出てきます

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5年越しでやっとつかんだ無農薬栽培の道筋

花は綺麗に咲かせることができましたが

毎日なくなっていくヒマワリを見るのはツライ

かといって、諦めてしまえば1晩ももたずにすべてが無くなってしまう

1キロ近い柵の周囲を炎天下の中歩きながら点検し修正をしていく毎日は

体力的にも精神的にもけっこうキツイ

 

持って帰ったヒマワリを紐でくくり、干し竿に掛けると

1日分で場所がいっぱいになるということの繰り返し

乾いたものから手作業で脱穀しないと

干す場所さえなくなってしまうという毎日が続いています

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衣装ケースにバーベキュー用の網という原始的な組み合わせで

乾いたヒマワリの種をはぎ取る作業

これをさらに乾燥させ選別すると、半分以上は無くなってしまいます

 

ここから取れるヒマワリ油で商売をしようとは思いません

全部は消費しきれないので、とりあえず値段は付けますが

銭金だけでカタを付けようとする人たちにこの思いは解らないと思います

花は僅か1週間で終わります

でも、日に当たらない地味で退屈な何か月をこなさないと

ヒマワリは油にはならない

 

結果は「運」だと思います

たまたま上手くいくこともあるかもしれませんが

多くのことはそうではない

しかし「挑戦する」という意識がなければ

「運」を試すリングに上がることはできないと思います

俺は、すべてのことに於いて「今より上 今より先」に辿り着きたい

リングに上がらない人や、野次馬にはなりたくない

たとえヤケドをしたり痛い思いをすると解っていても

挑戦する自分でありたいと、いつも思っています