種の乾燥
調子に乗って雨の前に残りのヒマワリを刈り取ろうと思ったけれど
よくよく考えたら乾燥させるところが無い
ガクの部分はまだ乾いていないので、
コンバインで刈り取ると種は湿気を含んだ状態になる
乾燥機があれば多少水気があってもコメと同じで関係ないかもしれないけど
乾燥機もビニールハウスも持ってはいない
仕方ないので工場にブルーシートを敷いて、扇風機を当てている
ヒマワリはすぐにカビが付く
刈残した分はこの台風と雨でだめになるかもしれない・・・
農業の機械化というのは実にうまくできている
面積を広げれば手刈りで収穫するのは難しくなるので機械を使う
でも、機械を使えば短時間で大量に収穫できるから乾燥する機械が必要になる
コメでも麦でも大豆でも、日本式で狭い面積で収量を上げようとすれば
そのシステムの中にイヤでも組み込まれることになる
田植機や播種機で整列したように並べて植えるのも
除草剤で作物以外の植物を殲滅するのも
コンバインでスムーズに刈る為
収穫したものは乾燥しないと貯蔵できないから
乾燥機が必要ですよ、カントリーに搬入して下さいよと
よく解らない商売人が手ぐすね引いて待ち構えている
結果莫大な機械のローンを払うため、言い値で打ち切られるコメを作り続ける事になる
農を業にするならそれは避けられないのかもしれない
「自分で販路を見つければいい」商売人は簡単にそういうけれど
よほど長けた人じゃない限りそう簡単ではない
ヒマワリを作り続ける理由の一つはそんなシステムに対する反抗
このままでは商売にはならないし、引き継ぐ人もいない
でも、こんな田舎の山間地で、打ち捨てられた棚田後で、無農薬で無肥料で
それでもこういう事ができるんだと証明したい
美しいストーリーもツマラナイ枕詞も看板もいらない
突き詰めた、曇りの無いモノを、世の中に問いたい
ドシロートの戯言か、叶わぬ夢かもしれない
でも、見続けてきたものは曇りのない、まぎれもなく本当の事
この黒い種だけがそれを証明してくれる
あの美味い油が今年は採れそうだ
料理人のダチが教えてくれた
バニラアイスにヒマワリ油という組み合わせは、驚く味だった
今年はそれが食べられそう
それだけでも苦労した甲斐がある