仕事とは
ダチの大工が作った寄木細工の箱
無垢のフローリングの残材を使って仕事の合間の作ったという
小さな寄木の寸法は0.1ミリまで測れるノギスでは全部同じ寸法
でも、0.1ミリ以上の精度が無ければ隙間なく木を組むことはできない
髪の毛の太さは大体0.03ミリ
髪の毛も入らない隙間で組まれた寄木の精度は0.03ミリを超えるもの
それを手カンナで調整しながら組んでいくものらしい
本当にカネのかかったエンジンやギアを組む時
1000/1まで測れるマイクロメーターとダイヤルゲージを使いながら組んでいく
でも、1000/1の精度は気温や湿度で変わるし、体温でも微妙に変化する
クリーンルームでなければ計測機器で1000/1まで測ることは不可能だし
F1でもなけりゃそれほどの精度は必要としないし、そんな設備は無い
100/1を超える精度を普通の状態で図るのは不可能だけど
100/1では高出力のエンジンを組むことは難しいし
この寄木を作ることはできない
ダチも俺もそれほどの精度を求められる仕事を受けたことはない
この箱に100万払うお客さんはいないし
エンジン組むのに青天井で予算をくれる人はいない
商売的には必要のない技術なのかもしれないけど
これは心意気やプライドの問題
恥かしくない仕事をするという職人の矜持の問題だと思う
この頃はウスッペラい話ばかり聞くし、それの方が耳目を集めて儲かってることが多い
でも、どちらがカッコイイかと問われたら答えは決まってる
手の記憶というのは、学校にいったって、1年や2年やったって身に付かない
ストーリーやバックグランドなんてどうでもいい
クオリティを追求する人間にそんなものは通用しない
仕事とはそういうモンだと思う