見つかった部品
はるか昔に生産されなくなった部品
九州から遠く離れた場所の部品商の倉庫に1つだけ残っていました
日焼けした箱、カビが付いたガスケット、車体メーカーとは違うメーカー
ガスケットは漏れが怖いので作り直しますが本体は大丈夫そう
現物修理は3か月待ちで実費ということだったので、どうするか悩んでいたのですが
古い繋がりの糸の先がどこかの倉庫の片隅に繋がっていました
ラジエターを外し、シュラウドやファンを外、ウオータポンプを外して
古いガスケットを剥がして、オイルストーンで磨くと、やっと新しい部品の取り付け
ボロボロのホースバンドを全部新品に換えて
ホースの中のサビをペーパーで落として、やっと組み付けが終わりました
新しいクーラントを入れてエア抜けばできあがり
幸い漏れも無く、ポーターは無事動くようになり、オーナーの元へ帰って行きました
こういう先の読めない修理は、普通なかなか受けることは難しくなります
なぜなら、工場の回転率が極端に悪くなるから
工場を立てるのはお金が掛かりますし、土地を借りるのも買うのもお金がいる
古い車の修理を受けてくれる工場が少ないのは、技術的なものもあるけれど
極端に稼働率を下げてしまうからだと思います
入庫して部品が見つかるまで1週間、バラシテ組み付けてチェックに1日
でも、請求書に書けるのは、部品代と工賃だけです
大手のディーラーなどは保管料を請求する所もありますが、そういう訳にはいかない
だから、45分車検とか1日車検とかの方が回転率ははるかに良い
そういうことにシフトしなければ、町工場は立ち行かないのが現実だと思います
経営という側面からみれば、サッサと終わる仕事を速く回した方がイイ
ダイアクが教えてくれるエラーコードに従って部品を交換し
消耗品をネットで揃えたほうが儲かります
でも、修理屋というのはそうじゃないんだという思いもあります
ユーザーと会話して、その人の車の使い方とか技術とか思い入れとかを考え
オイルやタイヤのブランドやメーカーを提案したり
車の使い方や手入れの仕方をアドバイスしたり
車を売ったり修理したりというのは、そういうこととセットなんだと思います
こちらの思いが伝わらないことも多いし、時代遅れなのかもしれませんが
そういう仕事の方がやりがいもあるし、面白い
若いころ、師事していた師匠にこう言われたことがあります
「お金を払ってもらうお客さんに ありがとう と言われる仕事じゃなきゃダメだ」
まだまだその域には達していませんが
その心がけだけは忘れてはいけないと思います