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とらわれずに暮らしていく

ウオーターポンプ

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持ち主から電話で

「ベルトが鳴いて、ゴムが焼けた匂いがする」

ベルトは車検の時に換えたはずなので

水温計を見てくださいと言うと

「振り切っています」

ということで、レッカーで入庫することになった

ベルトを外してウオーターポンプを回すと、引っかかって回らない

無理やり回していくと目で見えるほどふれている

ラジエターの水はほとんど入っていなくて

水を入れるとポンプ付近から漏れ出している

ここまでは単純なウオーターポンプのトラブル

交換すれば大丈夫なのだが、問題は部品の供給

 

以前、車台番号から検索してもらった時は「生産廃止 在庫無 生産予定無」

35年も経てば文句もいえないけど

ウオーターポンプは流用が利かない

12ボルトで動く電動ポンプを付けて水を回すか(新しいBMWはこうなっている)

現物を送って修理してもらうか(現物の状態による)

しか方法は無いように思える

 

ところが、今の部品検索方法には実は落とし穴がある

メーカーは部品をコンピューターで管理している

全国のディーラーや部品課は端末で繋がっていて

端末を叩けば、全国の在庫情報が一瞬にしてわかるようになっている

ただ、その端末の表示だけで部品のあるなしを判断するので

カンタンにありません、廃止ですということになる

 

じつは、部品は自動車メーカーが作っている訳ではなく、部品メーカーが作っている

部品メーカーは車種やメーカーに関係なく、エンジン品番で部品を作る

この車のエンジンはマツダではなく三菱のOEMで、三菱製のエンジンが乗っている

色々調べてみると、この三菱製の2気筒エンジンは、マイナーチェンジを繰り返し

660CCになるまで三菱の軽に乗っていたということがわかった

エンジンの型番は変わってはいるけど、基本的な構造やエンジンブロックは変更がない

つまりは平成元年まで市販されていたということになる

 

いつも世話になっている部品商には、メーカーやディーラーが捨ててしまった

古いパーツリストが山積みになっている

半日かかってパーツリストを見つけ、部品番号やメーカーの名前も解った

あとは、昔ながらの問屋さん経由で遡りながら探してもらうしか方法は無い

実はこの方法で見つかる部品はかなりある

時間は掛かるし、お年寄りの記憶頼みの方法だけれど

思いがけない情報や資料が見つかることが多い

 

老舗の町の部品商はもともと車が好きな人が多い

黎明期から町工場と二人三脚でやってきた人たちは

端末を叩いて「アリマセン」なんてことは言わない

手をかけあちこちに問い合わせをして、多分そんなに儲けは無いはず

でも、部品が見つかった時には、一緒になって喜んでいる

 

確かにネットで部品を取れば安いし、今なら1日で宅配してくれる

でもね、俺たちを本当に助けてくれるのはこんな人たち

だから、俺はネットで部品を取ることはしない

安いから、早いから、便利だから

人との繋がりはそんな薄っぺらいことじゃないと思う