病院で
ケガをしてから3週間
キズは塞がり、感染症の心配はほとんど無くなった
あとは指先に入れたピンが抜けるまでもうしばらくの辛抱
ガーゼの付け替えも消毒もセルフで良いということなので
週3回の病院通いは今日で終わり
あとは週1のレントゲンと骨の形成次第ということになった
付け替えに行っていた地元の病院にいくと知り合いが沢山いる
稲刈りが終わり農作業が一段落する頃、体のあちこちにガタがくる
地元で一番米を作り、乾燥やモミすりを請け負っているじいさんが車椅子に乗っている
作業が終わったとたんに歩けなくなったらしい
85になる爺さんが現役で重労働を請け負い、体を犠牲に働いている
チャラチャラした若造の甘ったれた夢や希望とは正反対の現実
壊れてもまだ責任を果たそうとする強い意志が彼を支えている
テレビや新聞で伝えられる美辞麗句やストーリーとは現実のほんの1部でしかない
私が見てきた現実は、地味で過酷で厳しい世界
10年経った今確実に年月は過ぎ、後がない状態になっている
「手伝うことがあれば言ってくださいよ」と言葉をかけ病院を出た
爺さんができなくなればその後を誰が引き継ぐのか?思い当たる人は浮かばない
そんな綱渡りの現実が、名も無き農村をやっとのこと支えている
プロデュースして台本を書くだけじゃ何の役にも立たない
カネさえ払えば事が済むわけじゃない
どうしたらいい?何ができる?
答えの無い宿題はずっと続く